2022.08.05 13:31どこへでも行けるから 今日は一日バイトもない。朝から洗濯機を回して掃除機をかけて、排水溝もきれいにしてしまおうかとラギーが思ったところで玄関のチャイムが鳴った。量の多いいただきものなんかをたまにもってきてくれるブラウンか、一昨日通販で注文したサーキュレーターが届いたか、と思ってインターフォンのディスプレイを見るとそこには夕焼けの草原の伝統的な従者服を着た獣人...
2022.08.05 13:30バーサス怪魚 三百年に一度、伝説の怪魚が現れるのがそろそろだとむさしのおやじが言い出した。「何スか伝説の怪魚って」 ラギーが訪ねると、むさしのおやじは伝説の怪魚について語り始めた。いわくこの地域に伝わる伝説によると、三百年に一度程度の周期でこのあたりに嵐と共に海から巨大な魚のような魔法生物が現れ周辺の村に甚大な被害をもたらしたということだった。 ナイ...
2022.08.05 13:19星の光は「へーここにも星送りってあるんスね」 本屋の店頭の掲示板に貼られた「星送りのごあんない」の掲示を見ながらラギーは言った。「星札は次の場所で配布しています……?」 星札という見慣れない単語に疑問を抱いて呟くと、本屋の店長が声をかけてくれた。「星送りっていろんな場所に風習としてあるんだけど、やり方は結構違うんだよ。このあたりだと、木の札に願い...
2022.08.05 13:18隣人の話 住む場所が見つからない。 コンビニでの一件後、レオナとラギーは件の遺跡の発掘作業員用の簡素な宿泊所に泊まり、チェックアウト後すぐに、これで商売になってるのかといった風情の不動産屋を訪れた。壁が薄くあまりに手狭、設備も整っているとはいえない宿での長期滞在は絶対にごめんだと気合を入れてやってきた二人は早速行き詰っていた。「出入りは多いけど住...
2022.08.05 13:17海沿いの町 面倒なことになったな、と頭の後ろで手を組まされたままレオナは思った。そう広くはないコンビニの店内、少し離れた場所では痩せた男が獣人の少女を左腕で抱え込み右手で持った日常生活では見ないタイプの大きなナイフを突きつけている。「僕は優秀なんだ……。だから間違ってるんだ……。不正が……。手違いがあったのにそれを認めない……」 男はなにやらぶつぶ...