【レオラギ】教育

「教育」

文庫/26ページ(表紙等込)/ 100円(会場頒布価格) / レオラギ / 全年齢

教育をテーマにしたとても短い話3編です。

◆価値を見出す

 学ぶことの価値と未熟さについての話。レオナに魔法史を教わるラギー。

◆相互作用

 お互い教えたがりのレオラギ。ほんのり事後。

◆この先に見える未来

 群れを未来に導こうとするくせにそこに自分の姿を描けなかったレオナの話。

 ラギーがレオナに教わる体験をさせる。


価値を見出す

 真面目なタイプではないにも関わらずラギーが授業への出席を死守することを、当初レオナは意外に思っていた。理由を訊ねるともったいないからという実にラギーらしい理由だったが、そもそも学校に通うよりもその時間を労働に充てたほうが良いと考えずに将来のために喜んで入学の招きに応じるあたり、ラギーは生まれ育った境遇にそぐわず学問というともすれば一マドルにもならないと切り捨てられかねないものに価値を見出しているということだ。一方で実学から離れた、例えば魔法史なんかは何の役に立つかわからないとぼやく面もあるので、学問というよりは就学することで得られる経歴に夢を見出したという方が正しいのかもしれない。それでも授業という慣れないものに本人なりについていこうとしている姿は、学校でいまさら学ぶことなどないと高をくくっていたレオナには新鮮で興味深いものに感じられた。


相互作用

 ラギーを抱いた後、罪悪感で血の気が引く思いがする。

 そんなレオナに加害者ヅラするのをやめてくださいとラギーが言う。昨夜もさんざん貪られた細い体、そのくせいつも目の光は強い男だとレオナは思う。

「オレはレオナさんとこういうことするのも他のことするのも嫌じゃないし、嫌なら嫌って言うッスよ。遠慮してるくせにやりすぎたみたいな顔して勝手に線引かないでください」

 レオナはラギーのこういうところが好ましいと思う。そしてだからこそいつか自分の手で壊してしまうことにならないか臆病になってしまう。皮肉で自分を臆病と形容することはあっても、その実怯えるものなんてそんなになかったはずのレオナにとって、今心から恐ろしいと思うのは自分の手でラギーを壊してしまうことだった。


この先に見える未来

「そもそも教える側ってのはそういうものだろ。教師たちだって俺たちの将来の話をするときに自分がどうなっているかは考えないはずだしな」

 それはその通りだとラギーは思うが、一方で既に将来というものに到達した大人たちと未だ途の途中である自分たちとでは違うだろうとも思う。レオナは年齢的には大人かもしれないが、まだその場所にたどり着いていないという点ではラギーや他の寮生たちと同じはずだ。

(この人、いつなら自分の将来を思い描けていたのかな)

 夢見た未来を破り捨てられてしまった幼い頃のレオナを思うと、大人になれなかったスラムの子供たちとこんなにも立場が違うのにこんなにも重なってしまうことにチクリとした痛みを感じる。

「―レオナさん、今からキッチンに行きましょう」

「あ?」

「いつもと逆で、オレがレオナさんに教えてあげるッスよ」

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